世界的な有名ブランド「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が、2016年にフレグランスコレクション「レ・パルファン ルイ・ヴィトン(Les Parfums Louis Vuitton)」を発表しました。
なんでも、香水を発表するのは70年ぶりだとかで、口コミでも話題となっています。はじめは7作品がでスタートしましたが、2018年に新作が追加されました。2018年12月現在で、レディース9作品、メンズ5作品が展開されています。
また、価格からも分かるように、あらゆるブランドの中でも最高級な部類に位置しています。高いから良いというわけでは決してありませんが、どれも3万円以上もするのは驚きですね。
この記事では、そんなルイ・ヴィトンの香水『レ・パルファン ルイ・ヴィトン』シリーズについて、ラインナップ14アイテム、レディースからメンズへと、それぞれの特徴や香りを詳しくお届けしていきます。
その前に、まずはルイ・ヴィトンのフレグランスコレクションのテーマからチェックしていきましょう。
レ・パルファン ルイ・ヴィトン(Les Parfums Louis Vuitton)のテーマ
コレクションのテーマは「旅」。ブランド創始者ルイ・ヴィトンが、富裕層が旅行する際の荷造り職人から名を馳せたこと、世界初の旅行用鞄専門店を開いたこと、そして軽量トランクを発売して発展していったこと、そういった「旅」に縁があるブランドならではのテーマです。
旅行者の気持ちに寄り添ったビジネスを展開してきたからこその「旅」をテーマにしたコレクションとなっています。
マスター調香師は、 世界三大調香師と言われるジャック・キャヴァリエ氏。親子三代に渡るパフューマーの家系で、「イッセイ ミヤケ」の『ロー ドゥ イッセイ』や「ブルガリ」の『ブルガリ プールオム』などを作った人物でもあります。
その彼が2012年から4年の歳月をかけ、世界中を旅して得られたインスピレーションを元に7つの香水が発表されました。革製品のルイ・ヴィトンらしく、7つすべての香水にレザーを感じさせる、とても個性的な香水になっています。
ですが、個性的と言っても使いにくい癖があるわけではなく、とっても馴染みやすいになっています。
それではその香水を順番にチェックしてみましょう。まずはレディースから。
レ・パルファン ルイ・ヴィトンのレディース香水
Rose des Vents(ローズ・デ・ヴァン)
ローズ・デ・ヴァンは英語にするとウィンドローズ。風のバラは「風配図」を意味していて、ある地点の風の向きや強さを表した図のこと。まさに旅に必要な羅針盤的存在です。
そんな言葉を冠したこのフレグランスは、シリーズの中でも口コミ一番人気で、ジャック・キャヴァリエ氏が「First baby」と呼んだくらいの思い入れがある作品です。
グラース・トルコ・ブルガリアの3種類のローズにイリス、シダー、ペッパーで織りなす輝きのあるフレグランスです。
3種類のローズを使っていても、重くて生々しい印象ではありません。フルーツを感じるトップノートで軽やかなローズフローラル。そしてイリスのパウダリーなフローラルにシダーが優しい雰囲気を加えます。そこにペッパーのスパイシーさがアクセントとして加わります。
フルーティーな可愛らしいローズに始まりますが、パウダリーやスパイシーが加わることで可愛いだけではない落ち着いた雰囲気も出てきます。爽やかで気品ある女性的な香りで、高級柔軟剤と思うくらい軽やかで明るい印象です。
Turbulences(タービュランス)
花の中でも最も香り立つというチュベローズに、瑞々しいジャスミンとレザーを加えた魅惑的な香り。グラースの畑に咲き誇るチュベローズを散歩中に見てインスピレーション得てつくられたものだとか。
しっかりとした濃密なホワイトフローラルで、艶のあるチュベローズと瑞々しさと甘さのあるジャスミンがうまく調和して、妖艶さと清廉さが同居している不思議な個性を持っています。
そこにレザーのスパイシーさがうまく融合した、濃厚でありながらもそういった印象を与えない、奥深くて高貴な雰囲気があります。
甘さがありながらもスパイシーさを感じさせる大人の女性のフレグランス。調香師の腕もさることながら、上質な素材を使っているからこそ出せる雰囲気です。
チュベローズを使った他社の香水とは違った独特な個性がありますが、やはりそれはレザーによるものでしょうか。
Dans la Peau(ダン・ラ・ポー)
ヴィトンの革工場に足を運んで、そこでの川の匂いにインスピレーションを受けてつくられました。まさにヴィトンのために造り上げられたと言えるのではないでしょうか。
甘さのあるアプリコットに、グラース産ジャスミン、中国産サンバックを使用。そしてナチュラルレザーが加わり、続いてナルシス、ムスクが感じられます。
フルーティーでありながらレザーも感じられるトップノート。酸味と甘みがあるアプリコットにナチュラルレザーがバランスよくまとまっています。雑味がないナチュラルレザーでラグジュアリーな雰囲気を醸し出します。
ミドルノートではフローラルとレザーが出会います。アプリコットのフルーティーの残り香にジャスミン・サンバックが加わり、瑞々しいレザーノートに。そこにナルシスも加わることで、ナチュラルで優しいレザーが香ります。
ラストノートではムスクがレザーに加わります。フルーティー・フローラルの残り香にムスクが加わることで、とても艶っぽい大人な雰囲気が包み込みます。
トップノートからレザーを感じられるのでメンズっぽい印象に思うかもしれませんが、実際にはフルーティー・フローラルが出てくることでとてもフェミニンに。男性でも使えますが大人の女性にこそ付けてもらいたい高級感ある贅沢なフレグランスです。
これこそが皮製品を多く出しているルイ・ヴィトンだからこそできる上質のレザーフレグランスでしょう。
Apogée(アポジェ)
旅先での雄大の自然の中での癒し、現実から離れた安らぎを感じさせます。スズランなどのたくさんの花を使った、輝くフローラルノートで構成されています。
スズラン、ジャスミン、マグノリア、ローズ、ガイヤックウッド、サンダルウッドが織りなすフレグランスです。優雅に咲き誇る甘さを持ったフローラルにウッディが茎のように重なることで、フローラルをさらに引き立てます。
瑞々しくフレッシュなスズランに始まるトップノート。次第にウッディな雰囲気が出てきてまさに花畑にいるような気持ちに。透明感あふれるピュアでフレッシュで軽やかな香り立ち。甘くなりすぎない爽やかなフローラル、特に春夏に向けて重宝しそうです。
Contre Moi(コントロモワ)
旅路で出会う男女の官能的な情熱を思わせる作品。バニラにフレッシュさと温かみが加えられています。
マダガスカルとタヒチ産のバニラ、オレンジフラワー、ローズ、マグノリア、ビターココアが織り交ぜられたフレグランスです。
付け始めはフレッシュでグリーン。次第にバニラの甘さを感じるフローラルに。時間経過とともにバニラの甘さが強くなっていきますが、ビターココアの苦さも相まってバランスよく収まります。優しい大人っぽい甘さを感じられるオリエンタルフローラル。
持続時間は4時間くらいといったところ。グルマン系というほどではありませんが甘いので寒い時期がおすすめです。
Matière Noire(マティエール・ノワール)
森の中を探索するようなウッディの神秘的な雰囲気と、そこで新たな発見をしたかのような光を思わせるフローラルが重なる魅惑的な芳香。
パチュリ・アガーウッド・ブラックカラントに、ジャスミンやナルシスといったホワイトフラワーのフローラル。
ウッディの香木の神秘さと心穏やかになるオリエンタルな雰囲気に、ホワイトフローラルの爽やかさが加わり、瞑想にふける中なにか新しいひらめきがあったような印象。ほんのりと甘さもあり、それがさらに神秘的・魅惑的を際立てます。
始めはパチュリなどの一般的にはラストノートで使われる香りが出てくる不思議な印象。ここに違和感がある人もいるかもしれませんが、本当の魅力はこの後の変化にあります。その後ではブラックカラントの甘酸っぱさが出てきて香りに変化をもたらします。
トップノートのウッディがミドルノートでフルーティーになり、一般的な変化とは逆の流れ。こういった不思議なところが「神秘的」と呼ばれる由縁でしょう。ラストノートまで、お香のようなウッディにフローラルや甘さなどを感じられます。
上品で透明感があり、人によってはグリーンの青さも感じられる、とらえどころがない不思議な神秘的です。
Mille Feux(ミルフー)
完熟したフルーツのようなラズベリーカラーのレザーバッグを見たことでインスピレーションを得てつくられました。ラズベリーとレザーの融合で織りなす独創的な印象、それは旅先の太陽や星空といった光り輝く様子を表現しています。
ラズベリー、レザーの他にアプリコット、オスマンサス(キンモクセイ)、イリス、サフランを加えた、とてもフェミニンなフレグランス。情熱的で光り輝く魅力的な女性を想わせる作品です。
レザーにフルーツを組み合わせるという、あまりないタイプ。フルーティーな甘さのあとに瑞々しく光り輝くフローラル。そしてスパイシーさがあるレザーの深みとイリスのパウダリーさが加わります。
香りの変化も大きく、シリーズの中でも一番記憶に残ると口コミで言われています。
Le Jour Se Lève(ルジュール・スレーヴ)
2018年3月15日に新しく加わりました。名前は「日が昇る」「夜が明ける」といった意味を持っています。旅立ちの朝を迎えるような明るい印象を与えてくれます。たまたまだとは思いますが、発売されたタイミングが新年度を迎える直前というのが、新しい旅立ちを連想させますね。
ポイントとなる香料は、ジャック・キャヴァリエ氏のお気に入りであるマンダリンです。それ以外にはサンバックジャスミン・マグノリア・モクセイ・ブラックカラント・ムスクなどが使われています。
トップノートは目が覚めるようなシトラスで始まります。それがおさまる頃には、フルーツの余韻を残しながらも、爽やかなフローラルが出てきます。ラストノートではウッディも混じったムスクに包まれます。
既存の7作品にはすべてレザーがアクセントとして加えられていましたが、この作品にはそれがなくなりました。また意外にもシトラス系がありませんでしたが、それもこれで補えます。
ATTRAPE-RÊVES(アトラップ・レーヴ)
2018年9月13日に加わった、シリーズの最新作です。荒野に立ち上るオーロラ・熱帯雨林に舞うホタル・海に降り注ぐ流星、そういった自然現象にインスピレーションを受けてつくられた作品です。名前の意味は「ドリームキャッチャー」ですから、夢の中を旅しているかのような神秘的な魅惑的な情景を表現しているのでしょう。
香りはピオニーやターキッシュローズにカカオパウダーを加えた独創的なフローラル。このカカオが夢の世界を表しているのでしょうか。他にはライチ・パチュリ・ジンジャー・ベルガモットなどが使われています。フレッシュさも加わることで現実世界も表現し、現実と夢の間を行き来する夢想の旅を思わせます。
またシリーズ初となるショートフィルムが、エマ・ストーン主演でつくられています。
レ・パルファン ルイ・ヴィトンのメンズ香水
L’IMMENSITÉ(リマンシテ)
メンズフレグランスは5作品とも2018年5月31日にリリースされました。
最初に紹介するリマンシテは、広大な自然の中に飛び立っていくような爽快感を表現した作品です。はじけるようなフレッシュさに少し苦みを加えてシャープな印象に仕上げています。
使われている香料は、ジンジャーとグレープフルーツ。そして。ベルガモット・ローズマリー・セージ・ゼラニウム・ラブダナム・アンバー・アンブロキサンなど。
フレッシュではありますが、アンバーやアンブロキサンでセンシュアルで魅惑的な側面も持ち合わせています。軽やかなのでメンズの中では一番使いやすいのではないでしょうか。
NOUVEAU MONDE(ヌーボー・モンド)
ルイ・ヴィトンの初期の顧客にピエール・サヴォルニアン・ド・ブラザという人物がいます。彼はフランスの伝説的な探検家で、ヴィトンが彼のために作ったトランクを持ってアフリカを旅しました。
そんな関係性に思いを馳せながらインスピレーションを得てつくられたのが、ココアとウードウッドという予期せぬ組み合わせのこの作品です。
ココアとウードウッドの他には、サフラン・アンバーウッド・ローズ・オリバナム・バニラ・レザーなどが使われています。
相反する要素を溶け合わせるハーモニーは、予期せぬ出会いがある旅の醍醐味を表しているかのよう。スパイシーさもありますがウッド系が少し重く感じるかもしれません。
ORAGE(オラージュ)
自然の神秘さや力強さ・荒々しさと、それと人間との関わりから着想を得てつくられました。ちなみにオラージュは嵐という意味です。イリスの上品な芳香と、ベチバーやパチュリのウッディが重なり、自然の奥深さを想起させます。
イリス・パチュリ・ベチバーの他には、ベルガモット・グレープフルーツ・ヘディオン・ペッパー・イソイースーパー・ホワイトムスクなどが使われています。
嵐という割には荒々しい男性的というものではなく、むしろ落ち着きのある力強さを思わせます。ベルガモットなどのシトラスから始まって、ミドルノートではフローラルの中にもイリスのパウダリーが利いてきます。そしてラストノートではアンバーやパチュリで透明感あるウッディに。これはお香にも使われるものですから、自然の神秘を表現するにはもってこいですね。
SUR LA ROUTE(スール・ラ・ルート)
「道の上」というような意味を持つこの作品は、吹き抜けていく風から着想を得てつくられました。刻一刻と止まることなく進んでいく時の流れを風になぞらえて、そして人はみな人生という旅路の途上にいるということを意味しているのでしょうか。
使われている香料は、カラブリアンベルガモット・レモン・ピンクペッパー・ナツメグ・グラス・カルダモン・ヘディオン・シダー・ペルーバルサム・イソイースーパー・レザー・パチュリです。
ベルガモットやレモンのシトラス系から始まって、風が通り過ぎていくような爽快感を表現しています。そこにグラス(草)のグリーンやペッパーのスパイスがアクセントとして加わります。ラストはウッディ調に落ち着いていきます。
AU HASARD(オーアザール)
まだ知らない世界へいざなう神秘的な芳香。本能のままに進んでいくのはまさに冒険。その冒険へと誘う出すような魅惑的な香りをサンダルウッドを使って生み出しました。
サンダルウッドの他には、ベルガモット・レモン・アルデヒド・カルダモン・フリージア・ネロリ・ナシ・グリーンノート・アンブレット・ムスク・カシュメラン・レザーが使われています。
ウッディがメインになりますがムスクやアンブレットでムスキーに包まれます。また温かみと甘さもあって官能的な魅力を醸し出します。ウッディですが男性的になりすぎないバランスの良さが素晴らしいです。
さいごに
今回はルイ・ヴィトンの70年ぶりのフレグランスコレクション「レ・パルファン ルイ・ヴィトン(Les Parfums Louis Vuitton)」のラインナップ14アイテムを紹介しました。
特別な思い出や経験ができるのが旅行の醍醐味。香水も同じく、特別な想いを纏えるように上質な製品に仕上がっています。その想いは70年ぶりに製作するにあたって最初にしたことが、材料となる花の花畑の購入から始めるくらい。
ルイ・ヴィトンの長年の想いが込められた香水をぜひ試してみて下さい。ちょっと価格がネックですが、特別な人へのプレゼントにおすすめ!
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