「香水を付けない女性に未来はない」 とまで言い放った、シャネル。そんなシャネルの香水の特徴は、人工香料が強くなく、濃厚な香りを感じさせるという点が挙げられます。実は人工香料を配合した初めてのフレグランスをリリースしたのがシャネルなんです。
他のブランドは万人ウケを狙った無難なタイプが多いですが、シャネルの香水はそれぞれに独自の強い主張があり、一線を画します。キレのあるシャープなフレグランス、最近では男性でも使う人が増えています。
今回は、歴史に残る世界一の香水と名高い 『シャネルの5番(No5)』 とこの現代版 『No5 L’EAU(ロー)』 について、その香りや使用者の口コミをご紹介します。
世界一の香水『シャネルの5番(No5)』
あらゆる香水の中で世界一有名で最も歴史のある、通称 『シャネルの5番(No5)』。ココ・シャネルが帽子屋さんを創業した1910年から11年後の、1921年に発売された創業以来初の香水です。
“この世のものとは思えないほどの美しさ”を香りに例え、あの マリリン・モンローが愛用し、世界中に広まった経緯があります。
『5番』というネーミングは、調香師エルネスト・ボー氏の用意したテストサンプルがフレスコに10個あり、その中からシャネルが選んだサンプル番号がNo.5だったところから付けられました。
なんともオシャレなネーミングですが、実は発売日も5月5日なんですよ。発売されてから100年の歴史があり、世界一の売上数量を誇っています。
No5の香り
- 調香師:エルネスト・ボー氏
- トップノート…ネロリ・レモン・ベルガモット・アルデヒド、など
- ミドルノート…ジャスミン・ローズ・イリス、など
- ラストノート…サンダルウッド・ベチバー・アンバー・ムスク・シベット、など
人工香料である アルデヒド(アルデハイド)を使った画期的なフレグランス です。それまでは香料をそのまま使っていたので香りが強かったのですが、アルデヒドを使って調香することでとてもマイルドになり使いやすくなりました。
トップノートはちょっとクセがあるものの、ミドルノートで女性的なフローラルが広がります。ふんわりとしたパウダリーを感じながらラストノートに優しく温かく包み込まれます。
このNo.5が発売されて以降、他社でもアルデヒドを使ったフレグランスをリリースし始めたので、香水の歴史を語る上でも重要な作品と言えますね。
No5を使用した人の口コミ
奥が深いフローラル
フローラルに関して様々な声が挙がっています。 「上品」「甘い」「苦みがある」「女性的な優しさ」「甘くて苦い」といったもの。
特に注目したいのは「甘さ」と「苦さ」です。単純に同時に感じられるとか、時間差でやってくるとかではなく、 「苦みや渋みの裏側に存在している甘さ」 ということです。甘さはあるけれど前面に出てくるわけではなく、苦みがあるその裏側に甘さが存在しています。
そのバランスがとても絶妙。苦みがあることでちょっとマニッシュな雰囲気や凛とした芯の強さを印象付けてくれます。そして甘さがあることで女性らしさも演出でき、かつ甘さが出すぎないことで、「女性的な媚びた甘さ」にならないようになっています。
そんな絶妙なバランスで調香されているところが、名香と呼ばれる理由なんでしょうね。
包み込むようなパウダリー
パウダリーで、フローラルと同じように「甘い」「優しい」「格式の高い甘さ」「母性的」と口コミされています。
フローラルでの苦みの裏側に甘さを感じさせる秘訣が、このパウダリーなのではないでしょうか。
そしてパウダリーでの特徴は 「包み込んでくれる母親のような印象」 です。甘さがあるパウダリーに包まれて、どこか心落ち着くようなほっとするような空間になれそうです。
寝るときに付ける
マリリン・モンローの 「寝るとき付けるのはシャネルのNo.5だけ」という有名な言葉の影響もあってか、寝るときに使う人が多いのも特徴ですね。
始めはただ単に真似で付けた人が多いですが、実際に寝香水で使うと素晴らしいといった声が少なくありません。
香りが強い傾向があるので外出には使いにくいと感じてしまった人は、このような活用の仕方もいいかもしれませんね。
セクシーだけど、いかにもなセクシーさではない
こちらもマリリン・モンローの影響でしょうか、 「肉感的なセクシーさ」のイメージが先行していますが、実際はそうではないようです。セクシーさはありますが、もっと慎ましやか、内に秘めたセクシーさを醸し出す大人の色気といった印象になります。
「包み込むようなパウダリーで、外にアピールしないセクシーさになっています。」とパウダリーの影響を思わせる口コミもありました。わざとらしくないセクシーさをアピールしたいときにいいのではないでしょうか。
また肉感的なセクシーさのイメージから使うのを敬遠していた人でも、実は使いやすいとの感想も。苦み・渋みを感じられるところから、ちょっとマニッシュな凛としたイメージがあり、主張するセクシーさでもありません。
普段メンズばかり使っていた女性からはこんな声も。
良くも悪くも香りは強め
No.5が出る前は香料をそのまま使っていたため、 強い香りのものが主流でした。アルデヒドを使用することで使いやすくなったとはいえ、今の香水と比べるとNo.5の香りは強めです。人工香料が少なくていいという人がいる反面、それでも香りが強くて使いにくいと思う人も多いです。
プライベート以外で使うのをためらっている人います。また、パウダリーさが強く出て 「オバチャン臭い」「上品だけど、マダムがいっぱい集まったときのような」と感じた人もいます。
香りの強さ自体は使用シーンによって良し悪しありますが、今主流の香水と同じ要領で付けてしまうと強く出てしまうので、控え目にした方がよさそうですね。
適度に付ければ上質な香り
香りが強めであることを把握していれば、あとは 強く出ないように工夫すればいい だけのこと。
ちゃんと職場環境に馴染めているようですね。特にこの香水は、パウダリーで包み込んだ中から出てくる奥ゆかしさが魅力でもありますので、ちょっと弱めに感じるくらいが適量ではないでしょうか。
若い世代よりはちょっと大人な香り?
幅広い年代で愛用者がいるのですが、若い世代に「自分にはまだ早い」と思う人もいます。「子どものころ母親が付けていて、自分も似合大人になりたい」と思っていた人が、自分で香水を買うようになって試したところ、「自分にはまだ早い」と感じたとのこと。
本人の中で似合う理想像ができあがっていると、まだ自分自身がそれに追いついておらず「似合う女性になりたい」と思うのではないでしょうか。「もうすぐ30だけど、まだ自分では使いこなせていない。」と実感している人もいました。
似合うようになりたいと思わせてくれることで、「自分自身を成長させてくれる香り」とも言えるのではないでしょうか。
No5の現代版『No5 L’EAU(ロー)』
オシャレなCMが話題になった『No5 L’EAU』。こちらは世界一の香水『No5』を現代風にアレンジしたもので、2016年に発売されました。
歴史ある名香を時代に合わせたフレグランスに進化させ、香りの強さも控え目になりました。シャネル特有の独特なクセを抑えて万人に使いやすくアレンジされています。
調香師はオリヴィエ・ポルジュ氏。
- トップノート…レモン・マンダリンオレンジ・ネロリ・ベルガモット・ライム・アルデヒド、など
- ミドルノート…ローズ・ジャスミン・イランイラン、など
- ラストノート…シダー・ホワイトムスク・バニラ・オリスルーツ、など
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
まとめ
今回は歴史に残る世界一の名香『シャネルの5番』についてお届けしました。第一弾の香水でありながら、今なお人気であり続ける至極の逸品です。
歴史がある分クラシカルな印象ですが、古臭い印象にはならずに、現代の女性にも通じる「強い女性の魅力」を纏わせてくれます。
冒頭でも紹介したように、シャネルは「香水を付けない女性に未来はない」と強気な発言をしましたが、それぐらい自信があるNo.5だからこそのものだったのでしょう。
時代を越えた、流行に左右されない確かな実力。そんな世界一の香水、試してみる価値ありです。本質が分かるその奥深さ、ぜひ一度は感じてみてくださいね。
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